刺繍の世界へ第一歩を踏み出すためには、仕上がりの美しさや耐久性に大きく影響する「刺繍糸」について学ぶことが欠かせません!この記事では、刺繍機を使用する際の基本となる刺繍糸について、種類や特徴など詳しく解説します。刺繍初心者の方でも分かりやすい内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。

上糸について

刺繍糸の材質と選び方

糸には様々な種類がありますが、刺繍ではレーヨン糸やポリエステル糸、120d/2を中心に繊細な個所は75d/2という太さの糸が使われています。
刺繍糸の素材や太さによって刺繍の仕上がりが異なるため、用途に合わせた糸選びが重要となります!

材質

刺繍に使われる上糸には主に「レーヨン糸」と「ポリエステル糸」の2種類があります。
一般的には、発色が良く光沢がある「レーヨン糸」がよく用いられ、ワッペンの制作時のヒートカットなど、熱に強い特性が求められる場合に適しています。
一方、「ポリエステル糸」はスポーツユニフォームへの刺繍など耐久性が必要アイテムへの刺繍におすすめです。ポリエステル糸は丈夫で刺繍中の糸切れが起こりにくく、扱いやすいことから、初心者の方にも適しています。

材質 メリット デメリット
レーヨン糸

・光沢がある
 仕上がりに美しい輝きがプラス
・熱に強い
 加熱工程でも安定した性能を発揮
・しなやか
 柔軟性があり、スムーズな糸運びが可能です

・切れやすい
 取り扱いに十分注意が必要
・漂白材に弱い
 漂白処理時のダメージに注意

ポリエステル糸

・強度がある
 長期間の使用に耐える高い耐久性
・切れにくい
 安定した糸調子で作業が進めやすい

・光沢が少ない
 仕上がりがややマットな印象
・熱に弱い
 高温環境での使用には注意
・糸調子が難しい
 刺繍機へのセットや引き具合に工夫が必要
・しわになりやすい
 保管や取り扱いに気をつける必要があり

糸の太さ

糸の太さは「デニール(d)」で表記されることが一般的で、糸の太さを示す国際的な単位です。番号が大きいほど糸が太く、番号が小さいほど糸が細くなります。細い糸は繊細な刺繍に向いており、太い糸は存在感のある仕上がりになります。デザインや生地に合わせて適切な太さを選びましょう。

  • 75d  ―細い刺繍糸
  • 120d  ―標準的な刺繍糸
  • 200d ―太い刺繍糸

 

糸の撚り合わせや撚り方向

■糸の撚り合わせ
刺繍糸には、複数の糸を撚(よ)り合わせて1本にしています。120d/2 や 75d/2 のような表記では、末尾の「2」が2本の糸を撚り合わせていることを示しています。120d/2の糸は、120デニールの標準的な刺繍糸を2本撚り合わせて1本にしたものです。撚り合わせることで糸の強度が向上し、刺繍中の糸切れを防ぐ役割を果たします。

■撚り方向
一般的な刺繍糸の撚り方向には、右撚り(S撚り)と左撚り(Z撚り)があります。
工業用刺繍機を使用する場合は、「Z撚り(左撚り)の糸」を使用ししましょう。ボビンを巻いた下糸をセットする釜の回転方向が左回転のため、Z撚りの糸がほぐれにくく、糸切れを防ぎます。逆に、S撚りの糸を使用すると、刺繍中に撚りが緩んでしまい、糸がほぐれたり、糸切れが多くなることがあります。

※撚り方向を確認するには、糸を手に持ち左手を奥に捻じりましょう。
 糸の撚りがほぐれたときは「左撚り」、撚りが強くなれば「右撚り」となります。

 

下糸について

下糸の選び方

下糸は、綿糸、またはポリエステルスパン糸を使用するのが一般的です。
生地裏が柔らかく仕上がるように、できるだけ細い120番相当を使用するのがおすすめです。

下糸の巻き量

下糸は適量かつ均等に巻かれたものを使用しましょう。
巻き過ぎや不均等な巻き方は、糸切れや食い込み、縫い上がり不良の原因となります。

 


刺繍糸はご紹介した以外にも、金糸、銀糸など様々な種類があります。

糸の種類や特性を理解し、用途に合った糸を選ぶことで、より美しく耐久性の高い刺繍を仕上げることができます。
あなたの刺繍作品に適した糸を見極めて、理想の仕上がりを目指しましょう!