多機能ミシンPAXで、ソファーに加飾を施す。

カリモク家具株式会社
林 博行
谷澤 哲也
渡邊 康平

タジマの多機能ミシンPAXを2018年からお使いいただいているのが、総合家具メーカー・カリモク家具様です。「穴加工」「多色縫製」「多色刺繍」を1台で行うPAXを活用し、意匠性の高いソファーを製造されています。PAXを使って多様な顧客ニーズにどう応えようとしているのでしょうか。詳しいお話を聞きました。

カリモク家具株式会社
愛知県知多郡に本社を置く総合家具メーカー。「品質至上」という経営理念を掲げ、品質の高い家具づくりを通してユーザーのライフスタイル向上に貢献している。資材の調達から製造、販売までを一貫して行い、高い技術力と品質管理体制を備え、高品質なものづくりを行っている。
 

「縫製が加飾になる」ということを、新たな強みに

――タジマのPAXに興味を持たれた理由を教えてください。
当社は木の製品をメインにした家具メーカーですが、この総張工場では主にソファーを製造しています。ソファーに強みを持たせるために何か武器はないかと考える中で、加飾という表現をプラスすることを考えました。自動車シートの分野ではすでに加飾の導入が進んでいますが、家具の分野ではまだそうした例はあまりないと思います。早い段階で取り入れることによって他社との差別化ができると思い、タジマに問い合わせをしました。
タジマからPAXの提案を受ける中で特に優れていると感じたのが、パーフォレーション(孔加工)とキルティング加工が同時にできることです。孔加工によって意匠性を高められることに加え、孔加工の位置に合わせて精度の高いキルティングができることに魅力を感じました。

 

――実際にどのような製品にPAXを使われていますか?
ソファーのアームクッションに孔加工と加飾縫製を施した製品をつくっています。その他にも、高品質な素材のソファーにキルティング加工をしています。PAXを使う製品はまだ限られていますが、そのバリエーションを広げようとしているところです。たとえば、お客様にソファーの革の色を選んでいただくだけではなく、ステッチの色や柄も選べるようにする。そういう風に展開していきたいと思っています。

 

――PAXを使い始めた時に、孔加工について特に意識されたことなどはありますか?
データの作成でしょうか。デザインとして孔加工をする位置や、縫う順番については、何度も試行錯誤して調整しました。縫い効率を高めるためには、できるだけ「一筆書き」でいきたいんです。でも、一筆書きにするとシワが残るなど難しい点もあって、ベストな縫い方を見つけるまでに時間がかかりました。試作の段階でこだわり抜いてデータを調整したので、製品への孔加工と加飾縫製はスムーズにできました。

 

――孔加工やキルティング加工によって、(デザイン面だけでなく)機能面でメリットを感じられたことがあれば教えてください。
ソファーの「戻り」の良さですね。座った時にソファーは沈み込み、革が押えられますが、孔加工が施されているので空気の出入り口ができて、自然に元の形に戻してくれるのです。また、革の下にウレタンフォームを挟んで一緒に縫い止める(キルティング加工)のですが、そのデザインによっても座り心地が変わってくると思います。

 

お客様の想いを知ることが、品質向上につながる。

――家具業界の動向について教えてください。お客様のニーズの変化について、どのようなことを感じられますか?
まず、コロナ禍で「家ナカ需要」が拡大し、「家の中の環境を充実させよう」という傾向が強まりました。その後は物価高もあって節約モードに入っていますが、「暮らしを良くしたい」というニーズは依然として続いていると思います。ライフスタイルにこだわりのあるお客様が、当社のソファーを買ってくださっている印象ですね。ニーズが多様化する中、一人ひとりのお客様のご要望にきめ細かく応えていくことがさらに重要になると思います。

以前は当社でも同じソファーを50台、100台と同時に作っていましたが、お客様のニーズに応えるために受注生産を始めた後から、1ロットあたりの生産台数が減っていきました。ご要望に対し、より細かく応えるようになってからは、ソファーの縫製も仕上げも、1台ずつ行っています。よりお客様に寄り添ったものづくりをしたいと強く思い、家具づくりを通してパーソナライゼーションにも力を入れていきたいと思います。

 

――受注生産を始められた時点で、すでにパーソナライゼーションを意識されていたわけですね。
そうですね。当社が革の張替えなどを始めたのは30年くらい前で、業界内でも早い方でした。そこからどんどん進化して、サイズの変更に対応するなど個別対応の幅を広げてきました。ただ、箱物の家具と違ってソファーや椅子の場合は、形自体を変えるというオーダーは少ないんです。形を変えることは大変ですが、加飾によってオリジナリティを出せるので、それを武器にしていきたいと思います。

 

――貴社は品質を重視されてきた企業だと思います。お客様のニーズにきめ細かく応える姿勢が、品質向上につながっているのでしょうか。
当社は「品質至上」を経営理念に掲げ、品質を何よりも大切にして製品を作ってきました。材料を調達するところから製造、営業、小売店様やお客様に届けるまで、すべての流れをシステム化しております。そうした仕組みを活用してお客様の声を製品に反映することを、日頃から意識しています。ソファーを買われるお客様がどんな想いを持っているのかを、工場で実際にものを作る人にもしっかりと共有する。そういう意識を持つことが重要だと思っています。

 

――ソファーを買われるお客様の意識として、今後どんなニーズが増えてくると思いますか?
今は「色を選ぶ」ことを楽しまれる方が多いですが、今後はもっと「素材を選ぶ」という感覚になってくると思います。ファブリック(布)を選ぶとしても、ウールもあればレーヨンもあって、素材の種類は多様です。そうした多様な素材に対して同じ方法で裁断・縫製しても、仕上がりは同じにはなりません。
将来的な希望としては、PAXで縫うことによってどんな素材でも同じ仕上がりにできるようになったらうれしいですね。
今後、タジマさんと力を合わせてそういう課題にも取り組んでいけたらと思います。